開発ストーリー
半導体製造装置ソフトウェア
マルチステージプローバ「AltaProv」開発プロジェクト
東京精密グループ初のマルチステージ機構を持ったプロービングマシン(半導体製造装置)の開発プロジェクト。新たな機構や機能に対し、どうソフトウェア開発で取り組んだか?東京精密とお互いに意見をぶつけ合い、エンジニアとしてより良いものを作るための取り組みを語る。
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Aさん
ソフトウェア開発リーダー
2004年入社
開発項目・人員・進捗等の管理
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Bさん
UI開発チームリーダー
2009年入社
操作画面の開発、チーム管理
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Cさん
ソフトウェア開発担当
2021年入社
プログラム作成・テスト
さまざまなキャリアのエンジニアが集結し、東京精密初のシステム開発挑戦へ
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Aさん
マルチステージプローバ「AltaProv」は、東京精密グループでは初となる積層式のマルチステージ機構を持ったプロービングマシンです。これまでの装置と全く異なる機構を有しており、ソフト開発には10年近くの期間を要した壮大なプロジェクトでした。
この装置はステージと呼ばれるウェーハを測定する部分が縦に積層され、合計12台のマルチステージ構造持った、全く新しいプロービングマシンです。私は初期段階からウェーハを搬送するシステム開発チームのリーダーとして参加していますが、エンジニアとしてまったく新しい機構を制御できることの高揚感と、複雑な装置機構をうまく制御できるか、という不安もありました。
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私は、プロジェクト発足からおよそ1年後に入社5年目で参加しました。
当初は開発メンバーとして、マシンを動かすときに利用するタッチパネルの動作プログラムのデータ設計などを担っていましたが、その後は画面やデータ周りの開発リーダーのポジションへと変わりました。
通常は1つの装置で測定するウェーハは1種類のみですが、AltaProvでは12個のステージがあるため、複数人が同時に異なる種類のウェーハを測定することが可能です。このマルチ操作という機能がまったく新しく、当初はどのように制御すればよいか想像もできなかったです。
Bさん
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Cさん
私は2021年入社で、入社2年目からこのプロジェクトに携わっています。すでに装置システムは完成していて、受注や機能追加、改善のフェーズに入っていました。
このプロジェクトに参加する前も違うプロービングマシンの開発を行っていましたが、先輩方のサポートもあり、スムーズに受注・開発業務に参加することができました。
より良いモノづくりへの妥協を許さない姿勢が信頼へとつながる
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Aさん
過去に類を見ないプロジェクトで規模も大きいため、ソフトウェア開発を始める前に、トーセーシステムズ内だけでなく、東京精密の機械設計担当者や電気設計担当者から詳細な説明を受けたうえで、ソフトウェア制御の方法や問題点を一緒に検討していきました。機能によっては土台から作り直す必要があり、毎日のように打合せを重ねていたため、期限までに良いものを作り込めるかという不安はありましたね。
ソフトウェア設計において、制御対象をきちんと理解するという点は、たとえ時間がかかったとしても妥協できません。疑問点は機械設計や電気設計の各担当者に質問や相談をし、その内容をメンバーに伝えるということを何度も繰り返し、全体的に把握することを重点的にやったおかげで不安なく進められました。
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従来機と考え方が異なる部分が多く、機能追加をするにしてもどういった視点で考えればいいのかわからず、最初は苦労しました。わからないことはチームメンバーからアドバイスをしてもらえるので、日々新しいことを学べている感覚です。
Cさん
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Bさん
東京精密グループのソフトウェア企業として、どんどん技術的な提案ができ、実現できるというエンジニア冥利に尽きるところがあります。特に、追加機能の要望が上がってくるタイミングでは仕様から検討するようになり、エンドユーザーの要望の背景等も確認しながら「どのような制御が必要なのか」を見極めて、システムに落とし込む経験ができたのが印象深いです。また、開発過程で少しずつ理想に近づけたことが、成功体験として大きかったです。
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東京精密からの要望に対しても、それを実現するために必要な工数を洗い出したり、懸念点を指摘したり、話し合いの回数を重ねて私たちだけで抱え込まないように意識しました。東京精密とはお互いに意見をぶつけ合い、良いものを作るために妥協しないという共通のベクトルでプロジェクトに取り組めたおかげで、会社としても信頼を得ることができたと思います。
Aさん
若手からベテランまで、意見を出しやすい環境
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このプロジェクトにかかわらず仕様書の内容や要望をチームメンバーに伝える時は、不明点を曖昧にせず、その要望の背景など可能な限り情報を集めるようにしています。なんとなくわかったつもりで進めてしまうと途中でやり直しが発生したり、仮にできあがった製品の性能が悪いという評判が立ってしまったりすると、元も子もありません。それを防ぐために発注者へのヒアリングを徹底し、実際に手を動かしてくれるメンバーから意見を吸い上げることを意識しています。
Aさん
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Cさん
チームの皆さんは、こちらから質問をする時は手を止めてくださるので、なんでも相談しやすいです。また、週1回ミーティングが開かれるので、進捗を報告します。追いついていないことがあれば原因も含めて洗い出しを行い、解決のためのアドバイスや業務の振り分けもしてくださるので、自分ひとりで抱え込むことはありません。
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週1回そのような場を設けることで、若手メンバーも相談しやすい環境を作れたらいいなと思っています。ミーティングとは別に、タイミングを見てチームメンバーに声をかけたり雑談したりして、雰囲気の良いチーム作りを心がけています。
Bさん
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Aさん
チームには若手からベテランまでさまざまなキャリアのメンバーが参加していますが、「基本的に否定しない」ということを心がけています。普段から言いたいことが言いにくい環境だと、いざという時に思っていることを伝えられないですよね。若手メンバーでも意見を言いやすいよう、なんでも言ってくださいという雰囲気を作っています。
開発は想定外の連発、その困難が知見を蓄える経験に
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Cさん
今回はシステムが完成してからの参加でしたが、次回以降はプロジェクトの立ち上げから携わってみたいという思いが強くなりました。その時は私も先輩の立場になっていると思うので、今回先輩に教えてもらったことを後輩にもきちんと引き継ぎたいです。
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振り返ると、10年がかりの一大プロジェクトになりました。
新しい機構を作るということでまったく予想できないことが起きたり、想定外に大きく変更する点が出たり、そのすべてが自分にとって良い経験になりました。トーセーシステムズとしても、知見を蓄える良い機会になったと思います。このプロジェクトに携わったことで視座が高くなり、課題に対する解決方法は1つではないことも学びました。
今後、同様のプロジェクトを立ち上げることがあれば、今回の経験を活かしてよりスムーズに進めることができると確信しています。
Aさん
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Bさん
私にとっては、開発メンバーからリーダーへと成長するための経験を積んだ大切な期間になりました。当時は指示どおりに作業を進める立場でしたが、指示を出す側になって見えてきたこともたくさんあります。
どのようなソフトウェアがいいのか、どのような機能が必要なのかなど、能動的に考える力もついたと実感しています。今後、新しいシステムを開発するプロジェクトに携わる時には汎用性が高く、使いやすいシステムを提案できるようなエンジニアになりたいと思っています。